プロフィール
名前:笠原 隆
年齢:70歳(令和2年8月1日現在)
愛さんさん歴:平成31年6月21日〜現在
私には夢があります。
いつか「自分の足で買い物に行くこと」です。
「そんな当たり前のこと夢なの?」、「簡単すぎるよ」と皆さんは思われるかもしれませんが、私にとってはこれが大きな夢なのです。
15歳の時に高校へは進学せず、船に乗り、漁師になる道を選びました。そして船乗りの道を貫き通し、60歳で第一線を退きました。
悠々自適に余生を過ごしていたのも束の間、急に言葉がうまく話せない。左足も重く、左手は動かない。これはまずいと思った瞬間、気づいたら病院のベッドでした。
どうやら私の脳に異常があったとのこと。
思い当たる節は確かにあった。お酒も飲んだし、たばこも吸った。
決して健康的な毎日を過ごしたわけではないが、そんなことはみんなやっている。なんで私だけこんな目に。明日になればこの腕も足も動くようになるだろう、そう思って毎日眠りにつきました。
しかし、症状は変わらず。
私は好きな時に好きな食べ物を食べられず、好きなタイミングで外に出たり、自分一人の力でトイレに行くことができない身体になってしまいました。いつも通りの日常は一瞬で、予告もなく私から姿を消しました。
私は思い通りに動けない不自由な自分を、受け入れられませんでした。
そんな時、
「もう一度、一人暮らししてみませんか?」
そんな言葉が聞こえました。
「もう一度、歩きませんか?」ではなく、
「もう一度、一人暮らししてみませんか?」でした。
左半身が動かず、途方に暮れている私に眩しすぎる光が差しました。
(どうやって・・・?)
一瞬浮かんだ言葉がこれでした。
一人暮らしは簡単なことではない。だからこそ私は老人ホームなどの施設入所も考えていました。しかし、当時の担当のケアマネは言うのです。
「【愛さんさん】という高齢者住宅があるんです。そこは1日2食、食事が付いていて、緊急時の連絡もすぐにできる所らしいですよ。笠原さんは、まだ年齢的に若いですから老人ホームではなくこういう住宅に入ってみるのはどうでしょう?」
そんな所があるなんて知りませんでした。てっきり動けなくなったら施設か病院しかないと思っていたので寝耳に水でした。詳しく聞いてみたい、もう一度自分の力で暮らしてみたいと思い、愛さんさんの方を病院で話しました。
そこで知ったのは
・愛さんさんはサテライトだけでなく訪問介護やデイサービス、有料老人ホームなどがあるということ
・デイサービスに通って運動機能の向上を目指せること
・買い物や掃除などの環境整備は訪問介護がやってくれること
遠い存在だった一人暮らしが急に現実的になった気がしました。私の夢が「一人暮らし」になりました。
愛さんさんに関わり、歩行器を使ってですが歩けるようになり、自分の力でトイレに行けるようになりました。好きな食べ物も訪問介護員が買ってきてくださり、食べられるようになりました。失われていた、諦めていた日常がどんどん手に入ってきました。
そして今、私の夢は「自分の足で買い物に行くこと」に変わっています。まだ夢の途中、ここはこんな私にもいろんな可能性を感じさせてくれる場所です。